vanuatu6

　みなさん、お久しぶりです。石原郁子です。
　７／２２から８／２６まで、ほぼひと月を日本で過ごし、バヌアツに帰って参りました。日本は真夏だったのでクーラーをつけ、テレビやビデオをも見、車に乗り買い物に行くというごく普通の日本人の生活を楽しんできました。バヌアツの私たちのアパートにはテレビも車もないのです。中古のクーラーがひとつ寝室にありますが、ワット数が大きすぎて、他の電気器具といっしょに使うとブレーカーがおち、停電します。その上エアコンではないので、どんどん冷えゴォーという運転音がまっ暗な中にひびきます。
　
　◎衣替え、シナイ、シナイ。
　バヌアツはもう冬が終わり、ベストシーズンになってきました。豪華船やヨットの数が増え、オープンマーケットは観光客でいっぱいです。昼夜とも半そでにスカート、スラックス程度でよく、昼間は28～31℃になるというのに、海からの心地よい風で暑いとは感じないのです。ホントにここは１年中同じ服で過ごせます。いつぞやTVのCMで、現地人がたどたどしい日本語で、「衣替え。シナイ、シナイ。」と言っていたのを思い出しました。あれはバヌアツではなかったと思いますが似たようなところでしょう。たまに寒い日があると彼らは異常に着込み、ウィンドブレーカや毛糸の帽子、ショールなどをしていますが、どういうわけかそんなときにも素足です。
　こちらの婦人方は総じて太めで、お腹などポンと出ていますが、アイランドドレスの派手な絵柄と超ゆったりしたデザインが、すっぽりかくしてくれます。胴が太めでも、手足は細く長く、裸足にゴム草履をつっかけ扁平ぎみの足で、ゆったり歩きます。私は１年近くここに住んでいますが、婦人たちが走ったり早足で歩いたりしているのを見たことがありません。またそれは男性にもいえます。
　ヘヤースタイルも男女同じで、アフロヘアーや、みつあみ模様のラナットやラスタなどがあります。女学生たちは、たいていオールバックで、一つにまとめた髪を髪飾りなどでかざっています。生のハイビスカスやブーゲンビリアなどを髪にさしています。また、かばんも男女共通で、生成りのかご型ショルダーバックが男性にも愛用されています。

　◎頭上にさそり座の赤い星
　バヌアツの夜は暗く、満天に輝く星は手にとるようです。日本で南天にみた巨大なS字カーブのさそり座が、今、頭上近くにくっきりとみえます。♪♪「そうよ、わたしは、さそり座のおとこ～」♪♪　１１月生まれの主人が昔、よく歌っていました。（失礼しました。）
　南太平洋の伝説では、このさそり座はマオリ（ニュージーランドのポリネシア系先住民）がニュージーランドを釣り上げたとき、勢いあまって天にひっかかった釣り針だといわれています。なんとスケールの大きい話でしょう！大昔の夜はそれこそ真っ暗だったので星が降るようにみえたことでしょう。毎夜星を友として語っていたのかもしれません。
　このさそり座の近くにあるのが南十字星です。十字の一番下にあるα星のそばに石炭袋(コールサック）という面白い名の暗黒星雲があり、宝石箱といわれる星団もそのちかくでぼんやりとみえます。
　もう少し目を西に移すとニセ十字という名の南十字星まがいのモノもみえます。南緯１５度の我がバヌアツでは、私はまだ見たことがないのですが、北の空に北斗七星をもみることができるということです。また日本なら上弦、下弦の月は右、左半分に見えるのですが、南半球では下半分、上半分にみえます。

　◎月を愛でる会
　１０／１７(土）観月の宴をひらきますのでぜひどうぞ！というメールをＫ隊員（女性）からいただきました。K隊員はリセ(フランス系高校）で、日本語をフランス語で教えています。彼女の家は、私の家から歩いて１０分ほどの小高い山の上にあります。彼女の家の前に着いたときには、もうすでに７～８人集まっていました。K隊員の希望で満月に関する自作俳句を墨で半紙に書いてから会食が始まるという趣向です。壁にはもう書き終わった人たちの作品がピンでとめてありました。
　「なんとかの　月は東に日は西に」・・・・・　　　堂々と盗作を書いている人もいて、なんとなく気が楽になりました。お陰で私はおもいっきりメルヘンチックに｢満月や　うさぎはどこにいるのかな」と書きました。主人は？と見ると｢満月や　なかむつまじい影二つ」と書いているではありませんか！。私は急いで「満月や　顔そむけあう影二つ」と真実を書いておきました。
　その日より約１週間前、同じK隊員の招きにより同校日本語クラブの会員約７名の前で謡（うたい）を少し披露しました。私は茣蓙の上に正座して扇を前に初心者用の、「竹生島」のシテと地謡を少し謡いました。彼らの目には何とも奇妙なモノにうつったこととおもいます。その後の質問は「どこに住んでいるか」とか「どんな動物が好きですか」などで謡いにかんするものは皆無でした。１７～１８歳のかれらはとてもシャイで素直で、聡明そうなくっきりとした目鼻立ちをしていました。
　謡は上手にはできなかったけれど、日本語を学ぶ若い彼らに会えて、久しぶりにとても楽しいひと時を過ごすことができました。

　

ビラ湾に浮かぶ高級リゾート・イリリキ島

男性も愛用のショルダーバッグ・

爆弾？NO！スイカです

スターフルーツ

カカオの実

左からｹﾝﾀｳﾙｽαβ､石炭袋､南十字星、

リセの日本語クラブの皆さんと

　K隊員（左端）とクラブ員