vanuatu6

　みなさん、こんにちは。
　石原郁子です。月日の経つのは早いものですね。バヌアツに来てからもう9ヶ月、主人と結婚してからだと、もう34年になろうとしています。いつの間にやら流れ流れて、バヌゆきさんになっている自分たちを発見し、ハッと我に返るという毎日を送っています。
　バヌアツは今過ごしやすい季節をむかえています。夏が終わり秋から冬になっているのですが、夜明けの気温は17～18℃、昼間は25～26℃です。日差しは少しやわらいできましたが、それでもまだ肌にジリジリという感じです。私は今でも半そでにジーンズという服装をしています。

　◎ｱﾊﾟｰﾄﾒﾝﾄの庭
　日本でクリスマスの花と言われるポインセチアがアパートの庭に美しく咲いています。1,5メーターほどの低木ですが、真っ赤なホウヨウと緑の葉の対比は、何か心躍るような高揚感を与えてくれます。昔、ザンビアで桃色や白のポインセチアを見たことがあります。それぞれにたまらなく美しく、又こんなに大きな木だったのかとびっくりしたものです。私が知っているのは鉢植えのクリスマス用、30センチ位の　ちっぽけなものばかりだったので・・・・。
　庭には他に10メーターを越す大きなマンゴの木が2本あります。木によって大きなマンゴ（直径10～15センチ）ばかり成ったり小さなマンゴ（７～８センチ）ばかりだったりします。今年の1月、体いっぱいに実をつけた小マンゴの木は、新緑の葉を目いっぱい太陽にあてています。マンゴは漆科に属するため食べると口の周りがかぶれると言う人がいますが、主人も私も何ともなく甘酸っぱいマンゴがとても好きです。今年生り年の大マンゴの木は橙色の小花をいっぱいつけています。緑の葉と橙色の花という地味ないろの取り合わせながら、ゆったりとした常緑の大木の風格を漂わせています。
　アパートの2階に住む私たちは、もう目の前にせまってくるようなこの大きなグリーンのかたまりと、芝生の広いグリーン、海と空の限りない青、白いクルーザー等を、毎日見飽きることもなくボォーと眺めています。ところがこの頃、住民以外の人たちが頻繁に庭に入って来るようになりました。お弁当持参の親子グループだったり、学校帰りの少女たち10人位だったり、見知らぬオジサンたちが、あずまやのテーブルや椅子に何時間も寝そべっていたり、釣りをしていたり、左隣の3匹の犬や、右隣の鶏ひよこ一家が入ってきたり・・・。いつみても誰かがいるのです。ｱﾊﾟｰﾄﾒﾝﾄとあずまやまでは約50メーター、あずまやから海までは5メーターほどです。私たち住民の目が大木4本と花々によってさえぎられるせいだとは思いますが、又日本人なら考えられないことですが、バヌアツの人々は超おおらかで、よその敷地内でも平気で昼寝ができるようです。

　◎「タイユヴァンへの道」
　バヌアツのJICA事務所には、小さな図書室があります。それらの本はもともと事務所に必要とされて買われた物以外、隊員や事務所関係の人たちが帰国時に寄贈したものです。そのため種々雑多な本が置かれています。JICA事務所は我がｱﾊﾟｰﾄﾒﾝﾄから歩いて10分あまりです。気さくに寄れる雰囲気のある所なので時々本を求めに行っています。トントンと地下に降り誰にジャマされることもなく、ひたすら選んではみるのですが、存外自分向きは少ないのです。それでもこだわらず、こだわっている場合ではないと、アレコレ読めそうなものを2～3冊選んでノートに名前を書きます。この年になるとさすがに文庫本は読みづらく、なるべく字の大きそうなモノを探しています。その中に、壇ふみ・阿川佐和子共著の「ああ言えばこう食う」というのがありました。才色兼備の2人の往復エッセイ集です。
　おもしろかったので少し紹介したいと思います。
　「タイユヴァン」というのはパリの三ツ星レストランの名前だそうです。
　壇ふみの叔父（関西の某企業の社長）は仕事でローマ、ミラノ、パリへ行くことになり、叔父のマナー指南のため彼女も同行することになりました。タイユヴァンへ行く前日、パリの日本料理店での会話です。

　「それからね。オッチャン」と言いかけたら、楊枝でシーハーシーハーと歯をほじくっていた叔父が、店中に聞こえるぐらいの大きなげっぷをした。

　私は泣きたくなった。

　「オッチャン『タイユヴァン』でそれだけはやめてね」すると、とうとう叔父が爆発したのである。

　「うるさーい。これ以上ゴチャゴチャ言うんやったら『タイユヴァン』でバンバン屁ェこいたる！

　ウワァ～やるな～。この叔父上。なぜだかグッと親愛の情が沸いてきました。しかもヴァンとバンでちゃんと韻をふんでいます。
　これは別に関西人だからと言う訳ではないのです。マナーにあまり頓着しない人はどこにでもチョイチョイいるのです。我が背の君も若かりし頃、つまりは息子たちが小学生の悪ガキだった頃よくいたしました。子供たちからは、親しみとそしりの入り混じったあだなを頂戴していました。「ブートたけし君」と呼ばれていたのです。
　かなり話が落ちてしまいました。失礼いたしました。
　とにもかくにも、JICAの図書室は、小さいながら雑多の本があり、又それしかないために、今までの自分なら絶対読みそうもない本（前述の往復エッセイも含む）をも読むことになり、新たな読書の幅を広げてくれました。　　感謝です。

クルーザーが見えます

パンダナスの木

ポインセチア

マンゴの花

あずまや

もうひとつのあずまや

JICA　VANUATU　OFFICE

図書室

ではまた！