vanuatu6

　みなさん、こんにちは。
石原の、○妻の郁子です。今回は一時帰国のため早い目に私の駄文をお送りすることになりました。

◎マラポア・カレッジ・ミッドターム・ブレイク・スタッフ・バーベキュパーティ。
　この長い名前のパーティに招かれたのは３／２２のことです。バヌアツは約８割以上の人がクリスチャンです。イースター（キリストの復活を祝う祭り）が３月２５日～２８日までありこの日はほとんどの商店が店を閉めます。ミッドタームブレイクというのは試験休みのことで、いわば中間考査休みのようなものです。それが２３，２４と二日間あり生徒も先生も６日間の休みに入ります。その前日夜２２日５時からスタッフバーベキュパーティなるものが学校の集会室であり、それに私も招かれたという訳です。その招待状には「生のチキンウイング（手羽肉）２kg持参のこと」という但し書きがありました。それぞれ指定のものをもちよりローカル料理にするという趣向のようです。５時からパーティなので、それまでに材料を持っていかないと料理ができないと気使う主人に、私は「どーせ７時半頃しか始まらないから、ゆっくり行こう！」と、言いましたが聞き入れてくれません。途上国の時間など無いに等しいということを、ザンビアでイヤというほど経験しておきながら日本の感覚がまだ抜けきれていない主人なのです。５時前にはとうとう主人の機嫌が最悪になり、仕方なくミニバスに乗りカレッジにむかいました。４時５５分到着。当然のようにダレもいません。先生方の家は学校の構内にあります。先生の子供たちが２０人ほど遊んでいるだけです。生のチキンウィングを校務員さんに渡し、時間潰しに主人の部屋(渡り廊下に机を置いただけ。部屋ではありません）に行ったり図書館で生徒のイースターの絵を見たり、おじいちゃんが沖縄の人だというフランス語の先生（バヌアツ人女性）と話をしたりして過ごしました。ローカル料理がテーブルの上に並べられたのは７時半を過ぎていました。校長夫妻や他の先生方と挨拶を交わし１０分間のお祈りを教頭先生がしてから食事が始まりました。ビュッフェ方式です。その頃には先生たちの子供は３０人を超えていました。みんなテレビのサッカーを見ています。クマラ（さつまいも）、タロイモ、ヤム(長いも）の煮物。(味付けはしていない）。ラップラップと言われる太い調理用バナナをボイリングしたあと潰して上にチキンウィングをのせたもの。トゥルックと言われるマニアック（キャッサバのこと）を潰した中にミンチ肉をいれロール状にしたもの。チキンウィングのバーベキュー（ブッシュキッチンで焼いたもの）。アイランドキャベツのおひたし様。ぶっかけご飯。などのローカル色豊かなものです。飲み物は赤色のグレナディン（ざくろのシロップ）を薄めたもののみ。すべてちょっとずついただきました。芋類が多いのですぐにお腹いっぱいになります。後はおしゃべりをしたり走り回る子供たちをながめたりしていました。バヌアツ人の子供はチリチリ髪におめめパッチリでとってもかわいいです。
　ところで最初に、○妻と書きましたが　この○には何が入ると思われますか？主人が貰ってきたこのパーテイの招待状の中にこういう単語があったのです。「このパーテイに来ることができるのは、your　laｗful wifeとそのkidsだけ」という一文です。ローフルワイフとは正妻のことだそうです。ことさらこういうことを書くのは日本では考えられないことですが、バヌアツのおじいちゃん世代(５０歳以上）には２～３人の夫人がいるのが普通だったようです。　と、いうことで、正、がただしいのです。悪ではありません。ましてや毒など・・・・・。
　
　◎バヌアツの貝たち
　天然の模様と彩色には　いったい誰が、何のため、と考えてしまうことがあります。４～５メーターの深さの海底からダイバーたちによって採ってこられた貝たちには、驚くほどの幾何学的な模様と色使いがありました。貝本体が身を守るためのブ厚い覆いは手にとってもずっしりと重く、この衣を着てのそぞろ歩きは並大抵のことではと思ってしまいます。採取された貝は貝殻の奥に身を隠し出てこようとはしません。それで土の中にこの貝を埋め身を腐らせてこの甲羅を手に入れるということです。
　　　　なんと残酷なことを人間はするのでしょう！ホントに！
　こういう芸術品的な貝と違って日本のあさりに似た貝がマーケットで時々売られていることがあります。１袋《だいたい１００個入り）２００バツー（２００円）で買えるのですが、日本と違っていつも売っているのではないのです。天候や採る人の気分であったりなかったりという訳で、タイミングよく見つけると”ラッキー！”と言う感じです。これは１日ドロを吐かせ、ワイン蒸しにしたりボンゴレにしたりお味噌汁に入れたりと、結構使い道が広く、長く楽しめます。最初（昨年１０月）コレを買ったときどうしていいか分からずホテルのメイドさんたちにききました。彼女たちはきまって同じ返事で「ボイリング。カカエ」（煮る。食べる）ということで特別調味料など使わないようです。澄まし汁にしたのを飲ませてあげると「おいしい！」と言ってくれました。

◎シガテラ(ciguatera）の毒
　魚類に発生するシガテラ毒によっておこる中毒のことです。ここバヌアツではサイクロンシーズン（1～2月）やクリスマスの時期に、多くみられます。シガテラ毒を含有する付着性プランクトンがサイクロンや、開発などにより、さんご礁が大規模に破壊されると発生すると考えられています。症状はドライアイスセンセーシヨンと言われ、水に触るとか体に触れるとピリピリと刺すように痛み（電気が走るような痛み）が典型的です。この毒は煮る、焼く、干す、冷凍する、塩、酢漬けなどにしてもなくならないのです。予防はさんご礁に生息する魚（ハタ、ベラ、カマスなど）は食べないという対症療法のみ。そのシガテラ中毒にかかったシニアボランテアのX氏は、マダラハタという名の魚を3日間にわたって食べたということです。2日目までは何ともなかったのに3日目にドライアイスセンセーションになりました。ひたすら水を飲み毒を外に出して全快。事なきを得ました。
　主人も私も魚が好きで、山の中腹にある魚屋さん［海のちかくにはスーパー以外売っていない]によく行きます。「さしみ」と言う日本語が通じます。プレ（赤むつ）、ブリーム（たい）、ツナ（まぐろ）などがあり値段は日本の１／３ぐらいです。安くておいしいのでたすかります。でも毎日売っているかどうかはわかりません。１５分ほど上り坂を歩いてやっとたどり着いた店先で「today　no　fish。sorry」と言われたことがあります。それからは毎回電話をしてから行っていました。今は、「あるかな？どうかな？」とワクワク（？）しながら行っています。

◎バヌアツの雨
　季節の移り変わるその境目は、天空の神々の機嫌が悪く、連日の雨、雨、雨。時にはカミナリを伴い、斜めはすかいにものすごく、時には晴天の中に平気で雨を降らせます。晴れたかな？と人々が油断をするのを待っていたかのように、一瞬にして黒い雨雲を呼び寄せます。この４月に雨のなかった日はないくらいです。私は連日空を見つめ、どこにこれほどの雨をためることが出来るのかとメルヘンチックに思いをはせるのもつかの間、現実のムシ暑さに洗濯物は溜まる一方です。満艦飾のベランダに溜息をつきながら・・・・・・。
　去り行く夏を嘆き悲しみ、引きとめようとするかのように、雨は昼夜をわかたず容赦なくふりつづけます。この南国らしい強烈な抵抗を目の当たりにして、この地はやはり夏が一番似合っているのだと、つくづくと思ったものです。　

　