tuusin31

　みなさん、こんにちは。石原＠ＪＩＣＡＳＶです。
一時帰国で日本に１ヶ月いて、日本シリーズで阪神が２連敗するところまで見て、１０／２４（金）ザンビアの独立記念日にこちらに戻ってきました。あのあと阪神が３連勝して福岡決戦となり、結局ダイエーが４－３で日本一になったことはインターネットで知りました。私も妻もトラキチではありませんが、ともに星野ファンで、何としても星野さんに最後を飾って欲しかったのに、残念！
　ザンビアに戻ってくると、ジャカランダの花はもうすっかり散っていて、その代わりにフランボイアント（アカシア科）が朱色の花をいっぱいつけていました。ザンビアは本当に何もないところですが、花だけは豊富で、いつも何かの花が咲き誇っています。それと、例年１１月から始まる雨季が今年は１０月の中旬から始まったらしく、こちらに来てから毎日曇り空が続いています。でも、まだ週に一度ぱらつく程度です。本格的な雨季にはいると、週に２～３回、滝のような雨が降りますが、たいていは１～２時間で止みます。ザンビア人はこの本格的な雨季を見極めてメイズを蒔きます。雨季に雨が降らないと、農民はもちろん困りますが、我々も困ります。雨季は同時に夏なので、雨が降らないと文字通りの酷暑です。でも、一雨くるととても涼しくなります。
　職場に戻ると、大きな変化が待っていました。教育省の機構改革で、私のカウンターパートのMr.チュトュと肝っ玉母さんのMrs.モノが異動することに決まって自宅待機中でした。Mr.チュトュは私の一番の仲良しだったので、それを聞いたとき目の前が真っ暗になりました。まだ、どこに異動するかは決まってはいませんが、ルサカ市内のベーシックスクールの校長さんというのが、もっぱらの噂です。せめて私が任期を終えるまではいっしょにいて欲しかったのにと、年甲斐もなく感傷に浸っています。もうひとりのカウンターパートのMrs.ンサンブは９月から休暇を取っています。ザンビアでは公務員は２年間で６０日の休暇が取れますが、土日を除いて６０日はほぼ３ヶ月になります。彼女は２月から４月までの３ヶ月病欠で休んでいますから、１年の半分を休んでいることになります。日本だとちょっと許されませんね。また、７月から休暇に入った金属加工の責任者のＭｒ．ムワバは出てきていましたが、一日中、ニューヨークの病院で働いている奥さんから送ってもらった４ＷＤ車の手入ればかりしています。今、工場は注文がないこともあり、閑古鳥が鳴いているような状態です。６人いる事務職員も集まっておしゃべりばかりしていて、あまり働いているように見えません。政府は機構改革でＮ．Ｓ．Ｃ．を民営化しようと考えているようですが、職員の働きぶりを見ていると、これでは３日でつぶれると確信します。Ｎ．Ｓ．Ｃ．の年間売り上げは約２００ＭＫ（５００万円）ですが、人件費を含めた経費は約８００ＭＫ（２０００万円）ですから。
　Ｍｒ．チュトュが異動するとなると、その前にしておくことがあります。それは、私の元運転手のロンベを警察に訴えることです。ロンベは私が貸したＫ５０万（12500円）を踏み倒おし、Ｍｒ．チュトュから預かった携帯電話をもって逃げたのです。お金が戻ってくるのは諦めていましたが、そんなことは許されないことだということをロンベに分からせるためにも訴えることにしました。10/28(火)、私達はロンベの元の奥さんと子どもの住んでいるカリンガリンガの警察に届けました。Ｍｒ．ムワンバとＭｒ．ケルビンの二人の刑事が話を聞いて調書を作ってくれました。意外にも彼らは行動が早く、その後さっそく捕まえに行こうというのです。まず、私達はロンベの両親の家を探すために、場所を知っている元の奥さんの実家に行くことになりました。ところが、彼らは車を持っていないのです。ザンビアの警察では、捜査の足はすべて被害者が提供するのです。やっとの思いで、元の奥さんの実家を見つけましたが、奥さんは職探しに出かけていて留守。次の日出直して、やっと私達はロンベの実家を見つけることが出来ました。オリンピアという豪邸の建ち並ぶところで、ロンベの実家もなかなかの豪邸でした。そういえば、ロンベの父親は定年退職する前は高級官僚だったと聞いたことがありました。ところが、両親は留守。仕方ないので刑事はその場で土曜日までに出頭するようメモを書き、使用人に渡しました。
　土曜日、Mr.チュトュと私はカリンガリンガ警察に行きましたが、ロンベは出頭していないとのことでした。仕方ないので、私達はロンベの父親に会いに行くことにしました。今度は父親がいました。父親はビールを飲みながら話を聞いてくれましたが、お前達の話は信用できないし、本当だとしても、それは息子のしたことで自分には関係ないと言い張ります。息子にはこの半年会ってないし、どこに住んでいるかも知らないといいはります。なかなか凄みのある父親で、Mr.チュトュは小さくなっていました。私達はすごすごと帰らざるを得ませんでした。ところが事態は急展開、帰り道に運転手のMr.オリバーがロンベの家を知っていると言いだしました。そして連れて行ってくれたのです。そこは私も知っているロンベが前にいた下宿でした。下宿の前にはタクシーの車がありました。ロンベは新しい妻をもらい、元の下宿に舞い戻ってタクシーの運転手をしていたのでした。私達はカリンガリンガ警察に戻って、二人の刑事を連れて戻ってきましたが、仕事に出たのかロンベの姿はありませんでした。刑事のケルビンは、夜中にもう一度逮捕に来るからタクシー代を出せと請求しました。私は目の前で逮捕を見るのはいやだったので、要求に応じました。すると今度は、お前と連絡を取るのに携帯のプリペイドが切れているので、プリペイド代も出して欲しいといいだします。ザンビアでは警察もタカリをするのです。こちらから電話すると言って、さすがにそれは拒否しました。
　翌朝７時にケルビンに電話すると、昨夜は夜中に１時間張ったが彼は戻ってこなかった（本当かな？）、これからもう一度行くから車で来て欲しいと言います。仕方なく私はまたカリンガリンガ警察まで行きました。そして、二人の刑事を乗せてロンベの下宿に行きました。下宿にはロンベはいませんでしたが、新しい女房がいて「彼は父親の家に行った」といいました。私達はまた父親の家に向かいました。そして、父親の家にやっとロンベを見つけました。
　刑事のケルビンは逮捕するといって家の中に入っていきましたが、３０分しても戻ってきません。３０分経って門から出てきて、父親はgentlemanだから、Mr.Ｉｓｈｉｈａｒａも入ってきて父親との話し合いに応じて欲しいといいました。どうも父親に丸め込まれてしまったようです。結局、ロンベが謝って、２ヶ月の分割で借金を返すという証文を書いて一件落着となりました。借金の返済は警察を通してということになりましたが、タカられないように気を付けねばなりません。
　さて、私の任期も５ヶ月を切り、いささか焦っています。これまでに４０の物理の実験を紹介したのですが、残りの１０は主に化学の実験を紹介し、何とか５０にして１２月からはそれらをまとめたいと思っています。
　10/30、水素の爆鳴実験に成功しました。フィルムケース２個で、安全な水素発生装置を作り、それを底を抜いたコーラのペットボトルに溜め、口につけたガラス管の先に点火すると、最初静かに燃焼し、爆鳴条件を満たしたところで急に爆発が起こるのですが、内径５ｍｍのガラス管というのがミソでした。ガラス管の先を細くしたり、銅のパイプでやるとうまくいきませんでした。運転手のオリバーが科学好きで、助手をつとめてくれていますが、成功したときは、手を取り合って喜びました。
　10/31は、スチールウールを燃やすと質量が増加する実験に成功しました。手製の天秤を作って、一方にスチールウールを置き、釣り合わせ、スチールウールを燃やすと、天秤が傾くことを見せるのですが、こちらで買ったスチールウールは、火を付けてもすぐに消えてしまって、質量の増加がわかりません。そこで、今日は過酸化水素水にレバーをほりこんで作った酸素をスチールウールに吹き付けながら燃やしました。驚くほどよく燃えて、質量の増加がはっきりわかりました。実験に使ったレバーの残り（使ったのはわずか）はオリバーのシマのおかずになりました。（本当は私が食べるつもりだったのですが、うれしくなって、ついやってしまいました）
　11/3、酸化銅に光を当てると光電流が流れる実験に成功。
　11/5、備長炭を電極にした燃料電池を作るのに成功。
　11/6、石灰石から生石灰を作るのに成功
みんな最初はうまくいかないのですが、諦めずにいろいろ工夫してみるとうまくいくようになります。この年になって初めて、化学の実験も楽しいことがわかりました。